お互いに設計事務所として活動しており、本来であれば案件やクライアントを取り合うことにもなりかねませんが、YOU設計さんとは10年以上前に知り合ってからずっと持ちつ持たれつの良い関係を構築出来ています。

弊社では大型倉庫や工場の設計を得意としておりますが、YOU設計さんは木造の構造計算や耐震診断なども手掛けているため、自社では受けきれないはずの案件もYOU設計さんに相談することで施主様のご要望に対応できる範囲を広く構えることが出来ています。

こちらからは、重量クレーンなどを扱うような大型案件に対しての知見があるので、鉄筋がメインの構造設計案件についてはノウハウを提供したり案件を請け負うなどしてお互いの強みを活かす関係が出来ていると思います。

構造設計と一口に言っても、建物の種類や立地条件によって考え方や設計は異なります。

弊社でよく扱う大型の倉庫は敷地面積の広い場所に鉄骨で建設することを想定して設計を行います。

また、倉庫内には20トンクレーンなどの設置も想定するケースも珍しくないため、耐荷重性などへの配慮も必要とされることから、一般的な住宅設計とは異なり機能的な価値や耐震強度を重視した設計が求められます。

こうした点に対応できる一方、木造などをメインとした住宅設計では住宅空間を生かした設計や、デザイン性を考慮した設計が求められるため、自社内だけでは受けきれない事がありましたが、協業関係として対応できる幅が広くなったと思っています。

YOU設計さんは専門的な分野に特化したスタッフが多数在籍しており、木造建築にも強いためこうした案件についての経験やノウハウが豊富にあります。

YOU設計さんには、外部の繋がりも多い点に助けられることもあります。

自社で解決出来ないことはお知り合いの方にコンタクトを取ることで提案力や課題解決力を高めていらっしゃいます。

これは普段から外部との関わりを大事にされているからこそできることだと思います。

本来設計事務所同士では競合し合う関係のはずですが、YOU設計さんとお付き合いすることでお互いの知見を共有し、困ったときには助け合える相手が出来ました。

これは言葉で聞くよりも大きな安心感があります。

設計事務所のノウハウや知見というのはブラックボックス化されており、いわば自分たちの強みであったり仕事を依頼されたときの武器でもあるわけです。

これをオープンにするということは、自分たちの首を締めることにもなりかねないのですが、YOU設計さんはこうした個の利益よりどちらかというと、業界全体を良くしていこうという考えや、よりよい設計を提供することを大事にしている印象があります。

業界の特色として未だに昭和時代の働き方をしている事務所も少なくないですが、YOU設計さんはこうした前時代的な社風からいち早く脱出を図った会社でもありました。

社内制度を整え、働きやすさを追求しながらスタッフを守っていく、今では当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、こうしたことを会社としてきちんとやろうと考え実行に移してきた会社です。

弊社も見習い、社内制度の改善や経営に関する相談をさせていただくこともあります。

こうした関係はとても貴重だと思っています。

YOU設計さんの強みの部分でもありますが、案件の相談を受けてから仮定断面出しのところまでが早い。

そのため、工務店や建築会社から依頼を受けてから見積もりの回答をスピーディーに行えるので案件全体を遅らせることなく進められます。

レスポンスの早さは我々も同じ設計事務所として見習いたい部分でもありますし、対応のスピードが早められることで繁忙期でもスケジュールに無理なく進めることができ、ハンドリングしやすくなったと思っています。

一般的な設計事務所の多くはそこまでたくさんのスタッフを抱えているわけではないのでマンパワーに依存して仕事をしがちです。

そのため、せっかくご依頼を頂いても人的リソースの都合でどうしても受けきれずに失注してしまうこともよくあるものです。

個では受けきれない案件も、YOU設計さんとはお互いを頼り合うことで、受注できるようになりました。

YOU設計さんが受けきれないときには弊社が仕事を請け負うことで補完し合える間柄です。

先方への信用度を落とす心配がなくなったことで受注も安定するようになっただけでなく、無用な営業も減ったことで全体として本来時間を割くべきところにきちんとリソースを投下できるようになっていると思います。

世間的にも話題になった耐震強度偽装問題の一件以来、建築業界は大きな変革を求められるようになりました。

それまで兼業制で意匠や設計などを一つの事務所内で行われていた体制の見直しや、設計よりも見栄えなどを重視するこれまでの風潮のままではいけないと、誰しもが改めて考えるようになりました。

こうした業界内での設計事務所の役割の大きさや重要性が以前よりも高まっていることで期待値も求められる水準も高くなっていると思います。

我々設計士はこうした期待や水準に応えていかなければなりません。

「建築」という様々な人とフローを辿る仕事のなかで、安全性についてもっとも配慮して提案できるのは設計事務所です。

もちろん建築技法や建築商材の選び方、職人の腕前によっても建物の安全性に影響が出ることは間違いないですが、それ以前に設計段階で安全性を欠いていては元も子もありません。

しかし安全性を確保したものの、予算オーバーでした、では話を先に進めることが出来ません。予算内に収める落としどころを模索して提案できること。

安全性を考慮しながら予算内で提案をまとめることがどうしても厳しいときには、その理由をしっかりと説明できる事務所は良い事務所と言えます。

施主様や依頼主に対して目線を合わせて共通言語で説明することや、そもそもミスコミュニケーションありきで話をすることも大事です。

大きな金額を投じて形にして行くわけですから、“完成したら実は意図したものとかけ離れていた”、なんてことは避けなければなりません。

ミスコミュニケーションが起こることを大前提に構えておくことで未然にすれ違いをなくすことができます。

私たち設計事務所は安全性に対して一番の監視役として厳しく貫いていかなければなりませんが、それ以前に施主様の要望をきちんと実現出来ているかどうか、を忘れてはいけません。

しっかりと施主様が言葉にしてくれれば良いのですが、聞き手である設計事務所が要望をしっかりとぶつけられる相手であると感じてもらうことも大事だと思います。

聞き手がしっかりと受け止めてくれる、だから相談してみようと思える、こうしたことを設計事務所側が意識することでよいご提案につながるのではないでしょうか。

YOU設計さんは、鉄骨、木造などそれぞれの分野に特化した経験豊富なスタッフがたくさん在席しており、若手育成にも力を注いでいます。

“広く深く”を体現している業界の中でも珍しいバランスの取れた設計事務所さんだと思っています。

また、「安全性」の面や「必要水準をしっかりと満たすこと」については一切の妥協をしないところも普段のやり取りから垣間見えるところです。

年々、法的水準の見直しや計算フローなどは複雑化しており、数年前よりも設計時の作業量は1.5倍ほどに膨れ上がっていますが、スピード感を落とさずに手早くまとめ上げる力はYOU設計さんのすごいところです。

多くの設計事務所が苦労しているこうした点にも、社内体制を整えながらしっかりと対応されているようです。

ありませんでした。

他の設計事務所ではこうもいかないと思います。

YOU設計代表の猪又さんはこの業界で25年、前職のときから付き合いがありますが、当時から仕事の丁寧さや人間関係を大事にするところは変わっておりません。

長くこの業界にいることや、外部の方との繋がりが広いことも彼の人間性の高さを物語っていると思います。

仕事が信頼関係の上で成り立ちつつも、そこに甘えることなく粛々と説明を省かずに提案いただける点などは、一度話をするだけでも感じてもらえるはずです。

猪又さんを筆頭に問題として起こりうることは未然に防いでいきながら、組織としても押さえるべきところをしっかりと押さえて仕事をこなすところは社風としてあると思います。

内向きな事務所が多い中でYOU設計さんほどオープンに接してくれるところはないと思います。

同じ設計事務所としてこうした深い関わり方が出来ているのも、YOU設計さんだからだと思っています。

高い技術、案件の幅、経験の多さ、人脈の広さなど、高い品質を生み出す上で必要なことを代表の猪又さんを中心にしっかりと構築されているので、相談に来るクライアントは安心して仕事を任せられるのではないでしょうか。

同じ設計事務所として学ばせていただくことも多く、尊敬しています。

個人的には5年後、10年後がとても楽しみだと思っています。

優秀なスタッフさんが揃っているだけでなく、若手の育成にも力を入れているので彼らが育ったときにはもっと面白いことになるのではないでしょうか。

代表の猪又さんとはこれからも変わらぬ関係を続けていけたら嬉しいですね。

そのうえで一緒に面白い仕事や案件ができたらいいなと思っています。

今後とも一緒に成長していけたらと思います。

これからもよろしくお願い致します。

徳永建築設計事務所　徳永 浩一